1. 「中洞 正」の経歴とコンセプト

「中洞 正」の経歴とコンセプト

中洞 正( なかほら ただし )

中洞 正( なかほら ただし )

1952年岩手県宮古市生まれ。酪農家。東京農業大学農学部在学中に猶原恭爾( なおはらきょうじ ) 先生が提唱する山地酪農に出会い、直接教えを受ける。卒業後、岩手県岩泉町で酪農を開始。 24時間 365日、畜舎に牛を戻さない通年昼夜型放牧、自然交配、自然分娩など、山地に放牧を行うことで健康な牛を育成し、牛乳・乳製品プラントの設計・建築、商品開発、販売まで行う中洞式山地酪農を確立した。著書に 「 幸せな牛からおいしい牛乳( コモンズ社 ) 」、 「 黒い牛乳 ( 幻冬舎 ) 」 など。

酪農は、人間の食に供することのできない植物資源 ( 草 ) を牛の介在をもって栄養価の高い牛乳に変換し、国土に無尽蔵にある植物資源の活用と併せて国土そのものの有効活用を図るべき産業です。

にもかかわらず、現在は国土の7割を占める山間地域の多くが、未利用のまま放置されています。ここに乳牛や肉牛を放牧し、国土に自生する植物資源を有効に活用することによって自給的酪農の構築が可能となります。また、現状一般に行われている穀物飼料 ( 配合飼料 ) 多給型酪農は、人間の食糧そのものを乳牛に与える 「 カロリーの迂回生産 」 の問題があります。今後の世界的食糧事情は、さまざまな要因による穀物生産の停滞と幾何級数的に増加する人口とのアンバランスから予断を許さない状況であるのに、牛と人間が 21世紀の文明社会で穀物を奪い合うという非常に愚かしいことが発生してますが、これは改めるべきです。

食の安全性の観点からも、消費者の不安を払拭することが生産者の務めです。牛乳においては輸入飼料のポストハーベスト農薬、遺伝子組み換え作物、配合飼料の酸化防止剤などの添加物の問題は消費者がとくに危惧している点だと思われます。乳牛に対する投薬の基準を設けることも生産者の務めではないでしょうか。

猶原恭爾 ( 理学博士 )

1908年 ( 明治 41年 ) 岡山県に生まれる。東北帝国大学 ( 現・東北大学 )で植物生態学を研究。学生時代から、研究のために日本各地の山林を踏査し 「 草の神様 」 と呼ばれるほど日本の草地に精通。長年の研究の末に 「 山地の土壌を安定させるには、シバ ( 野シバ ) が最適である 」 という結論に至る。その野シバを増やし、有効に活用していくためには酪農が最も適していると考え、酪農の指導も行うようになっていった。こうして提唱したのが 「 山地酪農 」 である。

< 著書 >
1965年 ( 昭和40年 ) 日本の草地社会 ( 養賢堂より出版 )
1966年 ( 昭和41年 ) 日本の山地酪農 ( 養賢堂より出版 )